影のボス、局長が登場
「おはよう」 すぐに局長が住友さんといっしょに出社してきた。住友さんは自分の席に向かったが、局長はオフィスの入り口付近で立ち止まっていた。山本さんは局長と目が合うと席を立ち、局長のほうへ向かっていった。局長が首をすこし横に振って会議室に入ると、後を追うように山本さんも会議室へ入り、会議室のドアは静かに閉められた。
View Articleブラック会社で悪魔が叫ぶ「お前、ホモか!」
僕たちの会話は橋口さんの一言で幕を閉じた。 「そろそろ、局長くるんちゃう。戻っといたほうがええやろ」 「うん、私はもう戻ろうと思っていたところやねん」 局長の愛人という噂の山村さんがそう答えた。 「じゃあ、オレとなかたにくんが先戻るわ。だから、みんな時間差で出社してきてや」...
View Articleみんな避難していた。仲間と出会えた喜び
僕はドアをくぐると何が起きているのか分からなくなってしまった。そこには山村さんだけでなく、大谷さん、住友さんまでいたからだ。橋口さんは唖然としている僕に説明し始めた。 「去年の夏もこんなんあったって言ったやろ、その時もここに逃げこんでん。10階ってアキになっているやろ。」 「大丈夫やった?ケガない?」 「私、オフィスに入った途端、気づいてここに逃げてきてん」...
View Articleブラック会社に救世主が登場
魂を抜かれ抜け殻のようになっていた僕は空想の世界にどっぷり浸っていた。深く深くまで潜っていた僕を遠くで誰かが呼んでいるような気がしたが、自分が自分でないような不思議な感覚がして、他人事のように聞き流していた。しばらくして再び訪れた沈黙は、僕にはとても居心地良かったのが、残念なことに、僕を呼ぶ声がまた聞こえた。依然その声を無視し続けていた僕は、自分の体が激しく揺さぶられているのに気づいて目を覚ました。...
View Articleブラック会社アソシに存在する共通項
それにしても、今の電話での山本さんの態度にはビックリした。局長を尊敬しているとは聞いていたが、まさかここまでだとは思わなかった。局長と電話している時だけまるで別人のようではないか。...
View Articleトイレに行きますと言うと、「意味が分らん。文章にして書け」と言われる。
僕は山本さんに、なぜ僕が外出しようとしていたのかを説明しようとしたが、この不可解な出来事をどのように説明したらいいのか分からなかった。 「今、局長からお電話がありまして、山村さんがトイレにいるらしいので、探しに行ってきます。」 やっと、出た言葉は確かそんな感じだった。山本さんは、何言っているんだこいつ、とでも言いたげな顔をして応えた。 「山村さんはまだ出社してないやんけ」...
View Article社長室に閉じ込められていた悪魔がとうとう出てきた
彼らは社長室に入って間もなく、口論を始めたようだった。張りつめた雰囲気と大きな声は壁越しにヒシヒシと伝わってくる。僕はさっきの状態から一歩も動けず、社長室の壁を見ていた。ふと、あるはずの壁が透けて、社長の胸ぐらを掴む山本さんが見えたような気がした。もしかしたらこれは夢なんじゃないだろうか、と疑った時、現実だと知らせんばかりにタイミングよく電話が鳴った。...
View Article悪魔の囁き「ほんまやな、信じるからな、信じるからな」
「お前に2・3日前にやってもらった仕事あったやろ、あれどこにやった?」 そう言えば僕は、2日前に1度だけ山本さんと少し会話したことがあった。僕が入社後、自習ばかりであまりにも退屈そうにしていたので、彼が僕に簡単な仕事を与えてくれた時だった。僕はマックのグラフィックソフトはそこそこ使えるので、その仕事を10分ほどで仕上げてプリントアウトした。...
View Article悪魔の次のターゲットは僕?
山本さんは身を乗り出し、中川さんの胸ぐらを掴んだ。そして、四方に振り回しながら、報告していないことがあるだろう、と叫んだ。 「ちょっと何するんですか、やめて下さい!」 中川さんは何のことか分からないまま必死に抵抗して叫んでいた。同じ営業でも山本さんは3D広告の営業で、中川さんは2D広告の営業と、広告媒体やスポンサーが違うので仕事の接点はないはずである。...
View Articleブラック会社に入社して1週間で悲しい事件が勃発
僕が入社して1週間が経った時に事件は起きた。 いっしょに入社した中途採用の石塚さんは5日目に辞め、新人は僕一人になった。...
View Articleブラック広告代理店、その名はアソシ
アソシという会社は、一言でいうとブラック会社。みんなが出社してくるのが10時30分ぐらいである。一応、9時から仕事なんだけど、みんな全然来ない。入社前はフレックスだと聞いていたが、とんでもない。単なる遅刻である。勿論、タイムカードによってしっかり給料から引かれている。時間にルーズな僕はその波に何度も飲み込まれそうになったが、ここで流されて遅刻をすると敗北者になるような気がして必死に毎日9時に出社した...
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